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研磨する目的は何でしょう?殆どの場合「傷を消すため!」「艶を出すため!」ですよね。
では、どうして傷が入ってしまったのでしょう?
どうして艶がなくなったのでしょう?
「乗っていて(車ですから走行します。)石が飛んできた。」「洗車や拭くとき傷を付けた。」「スーパーで駐車して誰かに擦られ傷が付いた。」等が理由だと思います。
「雨が降って塗装がボケてきた」「シミのような物が取れない」「表面がザラザラする」など、車の塗装にダメージを受けたからですよね?

問題の塗装自体の材質は変わりませんね!
メーカーで塗装されたときは無傷で艶がありましたね!
研磨して問題の表面ダメージを取り除いたとしても又ダメージが発生すると思いませんか?
確かに、ダメージを取り除くためには削るか、再塗装するしかありません。しかし、塗装すれば事故車扱いとなってしまい、売る時査定が下がります。研磨すればオリジナルですから事故車になりません。しかし上塗り以上の深い傷や浸透したシミは研磨では対応出来ません。

塗料についてご存知でしょうか?
日曜大工で塗装した事がある方もいると思いますが、注意書きに「塗る前に良く攪拌してください。」とあります。それは何故かというと、塗料は使用目的にあった役割のモノマーが配合されているポリマーです。
個々の材質には質量があり、また、表面は空気に触れ固まりかけた樹脂もあります。数分置いておくと重い質量は下に行き、軽い質量は上に分離します。したがって、塗装して乾燥するまでの間にも30μの中でこれと同じ様な状態が起こります、また、固まった樹脂の塊も存在します。
ここで砂を塗装と置き換えてみてください。といの中に均等と思われる砂を入れ平にして水を流します。
軽く柔らかい物や細かい砂は流れていきますが、水の勢いで流されない少し大きい砂や重く硬い塊のものだけが残った砂の表面に突き出でてきます。ここで言う砂は塗料、水は研磨剤、流れはバフの回転です。ですから、削っていくと塗装粒子は粗くなるとも言えます。

又、塗装表面に付着物が残ったまま磨いても上記と同じようなポツポツと凸が出てきます。アイアンカットやセラミック粘土などで異物を取り除いての作業が必要になります。

上塗り部分の約30μは全てが同一の粒子では無いと言う事です。塗料が乾燥する時溶剤が抜けながら科学結合して塗膜になっていきます。
わかりやすいもので例えるとタッチUPペイントをしてみると、凹部分に塗料を凸になるように塗っても乾燥すると3分の1まで減ります。乾燥で溶剤が抜けるミクロの穴も有ります。
固まるのが早い小さい材質のモノマーは質量が軽くなり表面に集まり高密度になっていきます。中の方は固まりの遅い大きい材質のモノマーです。中の材質が固まる間、塗装表面から約5μほどが高温で焼かれ続けホーローの様に硬く高密度になります(グラタンのような表面カリカリ中ミデイアムかな・・(~.~))。お皿やカップを割ると表面つるつる中ザラザラですね。

ダメージを削ることで解決していく事は最初の数回(約5μ以内)がオリジナル状態を維持していけると考えられるのではないかと思っています。それ以上に削り込む事は以前よりダメージを受けやすく痩せた質感の塗膜になってしまうのではないでしょうか。

PCSでは傷のダメージに対し0.5μ(場合によっては1〜2μ)までで表面を整え、それ以上の深い傷は角張ったエッジ部分を滑らかにして樹脂で埋めて見えにくくするまでにとどめる様に心がけています。
それはユーザーさんへの塗装ダメージマージンの確保と、その場限りの傷の深さまで削って『もう後がありません、さようなら』的なお付き合いではなく、メンテナンスで気になる新たなダメージを最少のリスクで対応していきたいからです。
最大に削る事は出来ますが、削ったオリジナル塗膜は戻せません。究極に削った後のダメージは、事故車扱いになる再塗装という対策手段があるだけです(+o+)。
再塗装する事を了解で研磨していくなら良いのですが、ユーザーさんにとっても施工者にとってもお互い納得できるものでありたいと思います。

ここで知っていただきたいのは、削る事は容易いという事です。
技術と経験が要りむつかしいのは磨きです、それは何故か?
どんな塗装でもペーパーで削れるからです。つまり、塗装する為に剥ぐ事が出来ると言うことです。
しかし、磨くと言うことは表面を滑らかに持っていくことは簡単に出来ません。言い替えれば、新車を磨くと言うことはダメージがある車を磨くより難しいと言う事でもあり、傷がない塗膜に傷を付けてしまう可能性があるからです。

又、塗装(樹脂)は紫外線で劣化していきます、劣化すると弱くなり傷が付きやすく表面も荒れて汚れも付きやすくなります、知識のない処理方法でも簡単に削ることができるようになります(一件綺麗に見えます)が同時に下の生きた塗装面にも傷をつけていることが多いのも現実なのです。

磨く方法として、今までは角がある粒子で削り取る事を主に考え、削り取る時に発生する熱が鉄板を膨張させバフ目(光を当てると磨いた燐光が見える事で、凹の傷はバフ傷と言います)ができる原因とされ、冷間研磨が良いとされてきました。
しかし、ミクロの凹傷は残ってしまいますし、ペーパー、中目、細目、極細目、超微粒子と仕上ていけば膜厚は減るしかありません。
近年の自動車メーカーの塗装は、塗料の開発改良と品質向上により硬く高密度化してきたことで、今までのような研磨方法では艶が出るどころか白くボケてしまうのが現状です。
今後は球体に近いナノダイヤモンドや処理により粒子が変化していくファインセラミック研磨剤や塗装の材質に近い樹脂で磨き、最少の塗膜研磨で整える事が出来るPCS技法が必要になって行くと思います。

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